今日は雑学をひとつ。
この前フッと思ったんです。どうして血液に型があるって分ったんだろうか？と。なので調べてみました。
２０世紀の初頭までは「血液型」の概念そのものがなかったそうです。なので、当時の輸血は奏功して回復する人もいれば、血液が合わずに命を落とす人もいる、まさに「運を天に任せる」治療法だったとのこと。
Karl Landsteiner
１９００年、オーストリアの科学者 カール・ラントシュタイナーは、他人同士の血液を混ぜると結球が寄り集まって塊になる「凝集反応」に注目。その原因を確かめるために、自分と弟子たちの血液を赤い血球と薄黄色の血漿(けっしょう)に分離し、各個人の血球に別の人の血漿を加えた。すると、赤血球が凝集するものとしないものがあり、その組み合わせに規則性があることを見出した。
「自分と異なる種類を排除する抗原抗体反応ではないだろうか」
Shibasaburou Kitasato
その１０年ほど前に、北里柴三郎が発見した「抗体」の概念はすでに世界に浸透していた。彼は、血球が凝集を起こす組み合わせに応じて血液をグループ分けした。それが今日のABO式となる血液型の発見である。それは「輸血革命」でもあった。以降、血液型不適合による死亡事故は劇的に激減し、輸血の安全性向上に大いに貢献することになった。
１９３０年、ラントシュタイナーは血清学および免疫化学への貢献により ノーベル生理学・医学賞 を受賞した。１９４０年には、弟子のアレクサンダー・ウィーナーとともに、輸血に関わるもうひとつの重要な分類法となる「Rh」血液型も発見している。
■輸血の歴史■
１７世紀にフランス国王の侍医・ドニが、子羊の血液をヒトに輸血したという記録があるが、この輸血によって死亡者が出たため、ドニは殺人者として裁判にかけられ、輸血禁止令が出される。その結果１８世紀はヒトへの輸血の記録がない「空白の１世紀」となった。
しかし１８２５年、イギリスの産科医 ジェームズ・ブランデルが、ヒトからヒトへの輸血を実施する。分娩後に出血を起こした産婦への輸血だった。供血者(ドナー)をベットのそばに立たせ、肘動脈を切開し出てくる血液をじょうごのような容器で受け、そのまま産婦に輸血した。まだ血液型の存在が知られていない時代の原始的な方法で、輸血の成功は１０人中５人というような結果だった。
１９００年、ラントシュタイナーが発見したABO式血液型ですが、発表当初は基礎医学分野の地味な論文とされ大きな反響はなかった。１０年ほど後、アメリカのモスらが、輸血の死亡事故の主な原因は ラントシュタイナーが指摘している血液不適合によるものであろうと主張したのをきっかけに、血液型を輸血の医学に応用する動きが急速に高まった。これにより、輸血の死亡事故は激減した。
■血液型の分類■
１９００年、ラントシュタイナーは自分と研究所のスタッフから採取した２２の血液標本を血球と血漿に分離し、それぞれの血漿に血球を混ぜたところ、同じ血球でも組み合わせる血漿によって凝集したり・しなかったりすることが分かった。
凝集が起こる組み合わせを「＋」、起こらない組み合わせを「－」と印をつけ分類。すると、血液標本は３つのグループに分かれるように見えてきた。お互いの血球と血漿が相容れず凝集を起こす血液型を「A」と「B」、どちらの血漿にも血球が凝集を起こさない血液型を「C」と分類した。この血液型はのちに「O」と改名された。
＊C型は「AとBのいずれの抗体物質も持たない」という「０(ゼロ)」という意味で「０型」に変わったのですが、これがいつの間にか「O(オー)」と間違われるようになり、「O(オー)」の方が普及してしまい「O型」となり、１９２７年に国際連盟の専門委員会において『A･B･O･AB』型を用いることが正式決定したそうです。
ちなみに、この２２人の中に「AB」型はいなかったらしく、２年後になって追加された。
■ABO式以外の血液型■
第二次世界大戦後、血液型の研究は飛躍的に進み「赤血球型発見ラッシュ」とも言われる時期が到来したが、整理・統合されて今日に至っている。
通常の輸血で活用されているABO式以外の血液型には以下のようなものがある。
・『Rh血液型』
赤血球の「Rh抗原」の有無による血液型。日本人のほとんどがRh陽性で、陰性の人は全体の0.5%程度、白人では約15%と考えられている。ほかにも非常にまれな血液型が献血などで発見されることがあり、その場合は輸血が必要になったときの対策として血液センターに登録される。
・『HLA血液型』
１９５４年にフランスのドセーが発見した白血球の血液型。血小板にもHLA抗原が存在しており、何回も血小板輸血を受ける人ではだんだん輸血の効果が低下することがある。その場合はHLA型が適合する献血者からの血小板を輸血することにより、本来の輸血効果を確保できる。
・『HPA血液型』
１９５９年にオランダのファン・ローゲムが発見した血小板の血液型。母親の胎内で、母児血小板型不適合が起こり新生児の血小板に対する抗体が産生されていた場合、血小板減少症(IT)や、血小板減少性紫斑病(ITP)の原因となることがある。
また、ドナーと患者のHLAの型が適合してる場合でも、血小板輸血の効果が乏しい場合にはHPA抗体が原因と考えられる。その場合はHPAの型まで適合性を調べて輸血を行う必要があるとされている。
なんでこんなこといきなり調べたくなったのかなぁ？とも考えましたが、理由はスグにわかりました。先日、幼馴染からおススメされたアニメ『働く細胞』を見始めたからです、きっと。でも、こうやって調べてみると面白いですよね、やっぱり。「北里柴三郎」さんを存じてなかったのですが、この方ものすごい人ですよ。破傷風菌の純粋培養に成功し、その毒素に対する免疫抗体を発見し、それを応用して血清療法を確立した人だそうです。(なんのこっちゃ分かってはいないがスゴさはわかる)この業績で一躍世界的な研究者として名声を博した方です。結核予防と治療に尽力し、１８９４年に香港で蔓延したペストの原因調査のため現地に赴いてペスト菌を発見した。スゴすぎですね。
血液型の「C型」が「O型」に改名された理由が見間違いっていうのも驚きのトリビアでした。
